ベーチェット病と診断されるまで・・・4
ベーチェットと診断されるまで
前回の記事の続きです。
まさかの個室部屋で入院
あれよあれよという間に緊急入院の話が進み、入院部屋の話になったとき、
「大部屋が空いてないので、とりあえず個室部屋になりますが宜しいですか?」
と聞かれました。
女医さんが私の病気の原因を解明するために入院を推奨してくださっている中、断る選択肢などないと思い、母親と私は快く承諾しました。
そしてそのまま看護師さんに、病院の上の階の方の入院病棟に案内されました。
4~6人の大部屋の通路を歩き、こんな感じなんだ~と見ていると、一番奥の方に個室部屋がありました。
な、なんかVIPだぞ・・・と思いつつ、扉を開けるとこれまたびっくり。
軽く10畳、いや15畳くらいあったでしょうか。
広々とした部屋にべッドとテレビがどーんとあり、先ほどの大部屋とは格が違いました。
当時は「早くこの症状の原因を知って、治る手段が知りたい」気持ち一心だったので、あまり気にはしていませんでしたが、
後日母親に聞いた話によると、大部屋が1泊数千円だったのに対し、個室部屋は1泊数万円したそうです。。(具体的な金額は忘れましたが、3~4万くらいだったかと。。)
結果的に、個室部屋には合計3泊しました。
3泊したところで、大部屋の1ベッドが空いたので、移動しました。
個室部屋は高いということもありますが、ずっと孤独だったので、大部屋に移動して良かったです。
眼科患者が入院する部屋だったので、他にも目の病気でがんばっている人がいるんだ、と少しばかり励みになりました。
入院して安心している自分
緊急検査病院になったその日、母親は一旦自宅に戻り、パジャマなどの入院セットを用意した後、夜病院に届けてくれました。
ありがたい。
(ただ、とても人前に見せれるようなパジャマではなかったので、翌日ユニクロでかわいいパジャマを数セット買って来てくれました。本当にありがたい。)
入院1日目の夜、意外にも心は穏やかで安定していました。
無駄なものは何ひとつないシンプルな個室に、自分がただ1人。
すべてのことから解き放たれ、自由になった気分です。
不思議なものです。
突然左目が見えなり、原因が不明で入院しているというのに、なぜだかほっとしている自分がいるのです。
このとき初めて自分と向き合い、初めて気付きました。
『私は、疲れていたんだ。もうキャパオーバーで、心も身体も悲鳴をあげていたんだ。』
ということに。
当時、自覚症状はなかったのですが、いま思い返すと私はストレスがかなり溜まっていました。
それは就職活動、自分で立ち上げた大学のサークル活動、家族、恋人、友人などすべてのことがうまくいかず、負のスパイラルに陥っていたからです。
思いついたらすぐ行動がモットーだけど不器用だった私は、自分の時間や考えをすべて犠牲にして、周りの目を気にしながらがむしゃらに物事に取り組んでいました。
その上、理想が高いので、現実とのギャップに苦しい思いをしていました。
入院した夜、心のどこかで、こう思っている自分がいました。
「もう、私は、何もしなくていいんだ。」
そして、こういう思いもありました。
「今まで、気付かなくて、ごめんね。」
感情をなくしたロボット
翌日朝、左目は相変わらずトリプルパンチを食らったままです。
看護師さんがサーっとカーテンを開け起こしにきてくれ、体温を測ったり、目薬をさしたかなどのチェックをしてくれたりします。
病院食は質素とまではいきませんが、栄養バランスが考えられている感じのヘルシー食材でした。
入院生活でダイエットできそうだな、と思いました。
そしてこの日から早速いろいろな検査が始まりました。
眼科では目の経過観察をするのが日課ですが、その他いろいろな科に回され、ありとあらゆる検査を行います。
私は毎朝看護師さんに1日のスケジュールを告げられ、そして各専門のお医者さんの指示に従い、あちこち検査します。
まるで自分がロボットになり、点検されている気分です。
点検されている間、そこに人間としての感情はありません。
お医者さんがやりやすいよう、てきぱき指示通りに動くのみです。
人間の心と身体は別物なのかもしれない、と少しばかり悟りを開いていました。
検査の内容は忘れましたが、覚えてる限り書いておきます。
・眼科では視力検査と診察を毎日
・健康診断でやりそうなこと一通り
・採血(毎日抜いていろいろな数値を見てもらってました。)
・造影剤を注入して目の中の写真をとるやつ
・目に機械を設置され、ドロッとした液体を入れて暗い部屋に寝ながら閉じ込められる。(まばたきできない)
・MRI(CTもしたかも。閉所恐怖症なので大変でした)
・婦人科(なんか怖くて、わーーーと叫んだ)
↑その他思い出したら追記します。
先生、私の病名わかりましたか?
眼科では、1日2回か3回の検査をしてもらいます。
私の担当医は、初診でお世話になったベテラン風女医さん、男のお医者さん(30代?)、若手の研修医さんの3名体制でした。
男性2人は少し頼りない感じもしましたが、今後の眼科を支える貴重な卵たちです。
私の眼球の中で起きていることが参考になるのであれば、どんどん見て学んでくれ!と余計なことまで考えていました。
検査で女医さんにあたる度、私の病気について話しました。
が、何を検査しても異常が見当たらず、「原因不明」と言われる日々が続きました。
入院して5日目が経過しても、原因不明のままだったので、それがまた私を一層不安にさせます。
この頃になると、大きな病名を告げられるかもしれないという覚悟はできてくるのですが、病名がわからないと、改善策もわかりません。
病名が知りたい一心で、携帯でいろいろ調べることもしていましたが、やはり原因不明で途方に暮れていました。
「ごめんね、私。」
続く・・・↓